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山口流剣術とその時代   第八回

 根元之三  龍岸崩砕勝剣
              (りょうがんくずしがんしょうけん)


山口流剣術の根元三本目の「砕勝剣」は、「龍岸崩砕勝剣」が正式な名称です。

伝書を読み込んでも、分からない点が多い技です。


@.「破勝剣」と同じく、椿三十郎の太刀を、柳生十兵衛は十文字で受け止めます。
弾き返された椿三十郎は上段か斜に太刀を構えます。
おそらく「車の構え」で左肩を前に突き出していると考えられますが、ここでは上段と解釈して進めます。
柳生十兵衛は、脇差を上段に構え長刀を下段に構えます。
 


A.柳生十兵衛は、左の脇差を頭上高く上げ、上段から斬り落とします。

 


A.柳生十兵衛は、脇座とほぼ同時に下段の長刀を用いて下から斬り上げます。あるいは、長刀は横に斬ったり、突く事も可能です。

 


柳生十兵衛は、小太刀を持つ左腕の前腕(手首から肘の間)に、陣笠を縛り付けて戦うことも可能とのことです。つまり、変形の軍配勢法とも言える刀法で、しかも二刀剣術を同時に実行している点が興味深いです。陣笠で十兵衛の脇差と長刀を、椿三十郎の視界から消す効果が期待でき、陣笠が動いたときには脇差が来るのか、長刀が来るのか予測できないため、椿三十郎には恐ろしい刀法となりそうですが、現実にこんなことが可能なのか疑問も残ります。


ここで、「破勝剣」「砕勝剣」で重視される「遠山の目付」について考えてみましょう。

「遠山の目付」は、流派によって意味がかなり異なるため、山口流剣術ではどのような意味で用いられているのかを考えなければなりません。
「遠山」にしても、「えんざん」と読む流派と「とおやま」と読む流派が存在します。「えんざん」と読む場合は、「1ヶ所だけを見ないで、遠くの山を見るように敵の全体を見ること」、という漠然とした解釈をする流派が多いようです。現代剣道も「えんざん」派です。
いっぽうの「とおやま」の場合は、自分の肩や敵の肩の動きに注意を払うことを意味します。柳生十兵衛三厳の「月見集」でも「とおやま」と読み、自分の肩先と敵の肩先の両方の動きを見ることが肝要だ、と書いてあります。

自分の肩先を意味する場合は、敵の太刀が自分の右肩を狙うか、左肩を狙うかを即座に見分け、次の動作を決定する判断に利用するとあります。
敵の肩先を意味する場合は、敵が「車の構え」のような拳や肘を自分の視界から隠す構えのとき、敵の肩先が動くのを見て、敵の攻撃開始の瞬間を見破るという判断の基準にするとあります。

 

山口流剣術の場合、「えんざん」「とおやま」のどちらなのかは迷うところです。目録には、「遠山の目付、または蛙(かわず)の目付」とあることから、おそらく「とおやま」のことだと考えられます。「蛙の目付」とは、有名な「五輪書」にも登場する言葉で、敵の肩の表情を意味します。


このように、フィギュアを利用して山口流剣術の根元である三つの形(かた)の再現を試みました。もちろん完璧だとは考えていません。

四百年前に誕生した、ほとんど無名の一流派の始まりが、雰囲気だけでも紹介できたとしたら、今回の試みの目的は十分達成できたと考えております。

なお、現在も同名の三つの形を稽古されている方々におかれましては、動作や理合いの違いなどを感じられるとは思いますが、形の復興を目的としたものではありませんのでご容赦ください。


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