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無外流兵法譚
史談往来 〜 無外流兵法譚
辻月丹はここにいる
 無外流祖・辻月丹物語
      噴火の章   第8回

〜  歴史ミステリー 
      無外流創始の真実 A 〜


無外流の始まりが元禄6年(1693)ではなく、その14年も前の延宝8年(1680)だとすれば、これまで謎だったいくつかの疑問が氷解していきます。

例えば、土佐藩に存在する無外流伝書のなかで、もっとも古いものは延宝8年の「無外流真伝剣法訣」です。それも、出処の明確な筋の良い伝書と言えます。
無外流が元禄6年に創始されたのであれば、こうした元禄以前の伝書が存在する理由が、これまでは謎とされてきました。この伝書を、無外流居合兵道を創始した中川申一は「無外、七十歳くらいの作ではないか」(「無外真伝兵道考」昭和43年)と、根拠もなく後年のものだとしています。しかし、無外流が延宝8年に創始されていて、伝書の執筆には禅僧の協力が大きかったと考えれば、じゅうぶん納得できる話です。

また、吸江寺2代目住職から偈を授かったのであれば、石潭の死後も辻月丹と吸江寺の交流が続いていたことになります。そうなると、辻(都治)家の菩提寺は吸江寺になっても良いはずなのに、実際には高輪の如来寺が菩提寺です。この疑問は、石潭の死によって、辻月丹一代限りの関係が途絶えたと考えれば納得できます。
おそらく都治家と、吸江寺の交流はなかったのでしょう。

月丹の孫の都治文左衛門の弟子だった高田隆介によれば、すでにこの頃、土佐藩士たちには吸江寺という名前すら忘れられていたようです。これは、土佐藩士たちと吸江寺の交流が早い時期に途絶えて、すでに久しいことを意味します。月丹が弟子たちを吸江寺に通わせて、禅を学ばせたという通説が考えにくい説だとわかります。
高田隆介は、次のように書いています。

月丹翁禅ヲ語ラレタル石譚禅師ハ上野ノ国某寺ノ智識ナリ。江戸ニ来リ麻布二本榎ニ在シ時集会有シヨシ也。然ルニ二本榎ト伝聞ハ知ヌレドモ何寺トイウ事ヲ知ラズ。

つまり、石潭の名前は伝わっていたものの、その寺の名前は忘れ去られていたのです。

ちなみに、延宝8年の「無外流真伝剣法訣」の序文に書かれていることは、下記のとおりです。


    無外流真伝剣法訣 序文

夫れ撃剣の術は鎮国の大権、撥乱の要備なり、何となれば武器盛んなれば兇邪わざわいせず。(途中省略)精神を会する者は、はるかに雲霄を隔つ、ひそかに憂う、百歳の後、伝習緒を失い、奥微聞くことなきを。すなわち新に十則を定めて録して訣筌となす。更に一円を画いて以て極致を寓す。幸いに師に超ゆる作にあわば寧ろ十集してこれを珍とせん、もしまた器にあらざる人には隻字と雖も伝うることなかれ。(途中省略)吾いずくんぞかくさんや、吾いずくんぞかくさんや、その十法つぶさに後に言う。

延宝八年歳庚申仲夏望日

     無外子辻月丹資茂撰



「庚申」とは延宝8年の干支で、「仲夏望日」とは「夏(旧暦)の良き日」くらいの意味です。石潭の死は延宝8年(1680)6月23日ですから、旧暦ではまさに夏になります。

「無外流真伝剣法訣」は、石潭が亡くなる少し前から準備されていたわけですが、その執筆においては、おそらく石潭の大きな協力があったのでしょう。石潭が亡くなるときに、辻月丹は無外流を創始し、その舞台装置のひとつとして「無外流真伝剣法訣」を用意したのです。


さらに、「無外流真伝剣法訣十則」へと続きまず。


  無外流真伝剣法訣十則

 智 神明剣
 仁 万法帰一刀
 勇 獅王剣

  一.獅王剣
  二.翻車刀
  三.玄夜刀
  四.神明剣
  五.虎乱入
  六.水月感応
  七.玉簾不断
  八.鳥王剣
  九.無相剣
  十.万法帰一刀

 一円 

 附
 短剣法訣
  (途中省略)

右無外真伝剣法は禅理を以て教導致す処、貴殿禅学御了知の上当流の剣法御懇望且つ御篤志につき、拙者先師より相伝の奥義、此の度授与致し候、御秘蔵あるべきものなり。





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